熊を絶滅させない理由とは?熊の生態についても解説

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人が熊に襲われたという悲しい事件が報じられると、「熊を絶滅させてはいけないのか」という意見がささやかれます。

今でこそ熊は人里に降りてきて農作物や人身に被害を与える「害獣」として認識されていますが、そのような見方をされるようになったのは実は明治時代に入ってからです。

それまで、特にアイヌ民族が暮らす土地北海道では、ヒグマは「山の神さま」としてとても尊敬されていたそうです。

熊は山からやってきて、肉や毛皮、薬などをもたらしてくれるものだと考えられていたのです。

人と熊も、昔はうまく共存できていたのです。

現在、共存が難しくなったからといって簡単に熊を絶滅させてしまった場合、今日明日に何か大きな問題が発生することはありませんが、長い目で見ると人間にも不都合なことが起こってきます。

それは、森が消えてしまう恐れもあるというのです。

本記事では、熊の生息数や人里に降りてくる理由、熊との共存が必要な理由までを解説していきます。

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熊の生息数について

日本で見られる熊として確認されているのは、ヒグマとツキノワグマの二種類です。

その生息数は様々な説がありますが、15,000頭はいると言われています。

日本全国に分布が拡大しており、人間の生活圏にも入り込んできているというのは日々の報道でもよく聞くところです。

本州で見かける熊はツキノワグマで、これだけでも12,000頭前後はいるそうです。

毎年各都道府県で熊の捕殺を行っており、1,000頭以上の熊が駆除されていますが、人里で見かける熊の頭数は増えています。

熊の食事事情について

冬が終わって春が訪れると、熊たちが冬眠から目を覚まします。

冬眠している間に熊の体重は20%ほど減るといわれていますので、熊たちは冬眠明けから夏にかけて、必死で食べ物を探すことになります。

冬眠の穴からはい出した熊たちは、芽吹いた草や昨年のドングリなどを食べることになります。

また、切り株に作られたアリの巣を食べつくしたという例もあります。

春を迎え、熊たちはまず穴から狭い範囲を動き回って見つけたものを食べるようです。

熊たちは次第に行動範囲を広げていき、フキ、ミズバショウ、セリや木の実に加え、昆虫類やハチミツなども好んで食べます。

そういえば、ディズニーのキャラクター・「くまのプーさん」もハチミツが大好きですね。

甘いミツを食べるためなら、スズメバチなどの危険なハチの巣にも目をつけて、巣ごと食べてしまうようです。

熊たちは基本的に甘いものがお好みのようです。

春が終わり、夏の盛りになっても相変わらず植物の茎や葉などを食べていますが、夏になると山には果実がなり始めますのでそちらも食事のメニューに加わることになります。

秋になると、ドングリやヤマブドウなどの大好きな木の実を食べます。

特にこの時期は冬眠の季節に備えて食いだめをすることになります。

また、川でサケを捕まえて食べます。

サケをくわえた木彫りの熊を見たことがある人もいるかもしれません。

ここまで述べてきたように、熊たちはハチミツや昆虫、サケなどもたべますが主に好んで食べているのは植物です。

熊といえば肉食だと思っていた人もいるかもしれませんが、熊の好物は肉ではなく、甘い木の実や果物だったのです。

山の中でひたすら植物を食べる、というのが野生の熊の本来の姿なのです。

ではなぜ肉食のイメージがついてしまったのでしょうか。

ここで、北海道に生息するヒグマを例に説明します。

20年以上前から北海道ではエゾシカの数が増えたと言います。

熊が冬眠から目を覚ましたとき、山の中に越冬できなかったエゾシカの死がいが転がっている場合があります。

そこでお腹をすかせた熊たちはエゾシカの死がいを食べます。

こうして熊たちは肉の味を覚えたのではないかと考えられています。

最初は死がいだけを食べていたのかもしれませんが、そのうち熊たちはシカを追いかけまわして仕留め、食べるようになりました。

これは北海道のヒグマの例ですが、このようなことは本州に生息するツキノワグマの場合にも起きていると考えられます。

熊はなぜ山から下りてくるのか

熊の特徴の一つに、学習能力の高さが挙げられます。

熊が山から人里まで下りてくるのは、この性質が深く関わっています。

よく熊が人里まで下りてくる理由として、山のエサが不足したためだと言われることがあります。

確かに異常気象等で山の食べ物が不足する年もあるでしょうし、それを理由に熊が山から下りてくることは十分に考えられることです。

熊たちは本来行動範囲をあまり変えないという習性を持っているため、基本的には山の中で食べ物を探します。

それが、ドングリなどの木の実が不足していれば、食べ物を求めて行動範囲を広げていきます。

しかし、それならば人里に下りてきたとしても草や木の実を食べればいいわけで、人を襲う理由がわかりません。

どうして山から下りてきた熊は人に関わろうとするのでしょうか。

その理由には、熊が人間世界の「味」を覚えてしまったというものがあります。

私たち人間は熊が人里まで下りてくることで熊を恐れるようになりますが、私たち人間も熊の領域である山の中に入っていくことがあります。

猟銃を持ったハンターなどの特別な人だけではありません。

登山家やハイカーなど、多くの人たちが山の中へ入っていきます。

こういった人たちの中にはもちろん良識のある人も大勢いますが、中には山の中にゴミを捨てていく人もいます。

そのため、山は人間の捨てたゴミでいっぱいになります。

人間が捨てたゴミの中には、食べ終わったコンビニ弁当のパックやお菓子の袋、食べ残しやジュースの空き缶などもあります。

先ほど熊の「食事事情」を説明した際に、熊はハチミツや果実などの甘いものが大好きだと述べました。

人間が捨てていったゴミの中には、熊にとって甘くておいしいものがたくさん混ざっていたのです。

食べ物を探し求めて山の中をうろうろする熊たちは、こういった人間の捨てたゴミを舐めたり食べたりすることになります。

自然界にはない、この上なくおいしいものばかりです。

ちなみに、少し話は変わりますが地面を歩いていてアリが這っているのを見たことがあると思います。

アリたちは虫の死がいなどにも集まりますが、人間が捨てたアイスの棒などにもたくさん集まります。

私はそのようすを見ていて、自然界のものよりも人間界のゴミのほうがアリたちに人気があると感じたことがあります。

熊たちにとっても、たまたま手に入れた人間界のゴミがおいしくてたまらなかったのではないでしょうか。

こうして人間の世界の「味」を覚えた熊たちは、それを求めて人里までやってきます。

本来熊たちは明るい場所や開けた場所は警戒するはずなのですが、若い熊などはまだ人間と接触した経験が少なく、人間に対して物おじしません。

人里にはゴミ置き場があります。

たまたま山の中で覚えた人間の世界の「味」にもう一度ありつこうと、熊たちは人里までやってくるのです。

熊との共存が必要なわけ

熊が人里まで下りてくる理由を説明してきましたが、この理由を知ったあなたは果たして熊を悪者扱いできますか?

熊が人里まで下りてくるきっかけを作っているのは、ほかならぬ私たち人間だったのです。

しかしたとえ熊が人を襲う危険性のあるものだとしても、私たちは熊と共存していく必要があります。

その一番の理由は、私たちが暮らす自然界のバランスは生物多様性に支えられているからです。

地球上には様々な生物がいますが、それぞれが支え合って自然界のバランスを保っています。

熊はその中でどのような役割を果たしているのでしょうか。

熊は本来、山の中に住んでいます。

基本的には植物や昆虫、サケなどを食べて生活しています。

ただエサを食べて生きているだけのように見えるかもしれませんが、熊は山の中で生きることで森林を維持していると言えます。

熊が食事をして糞をすることでそれが肥料となって山の樹木が育ちます。

木の実を好んで食べますので、消化されなかった種子が糞の中に含まれます。

また熊はサケも食べますので、山奥まで海の滋養をもたらすことになります。

熊が食事をする際には木の枝を折ることになりますが、枝を折ることで山の中に日光が差し込みます。

その恩恵を受ける植物もあるのです。

私たちはこのように山の森林を維持してくれている熊に敬意を払い、熊と共存していく必要があると言えます。

まとめ

熊との共存が必要なわけを述べてきましたが、熊がいなくなったくらいで森林の維持が難しくなるとは思えない、という人もいるかもしれません。

しかし、そんなふうに考えてしまったあなたには思い出してほしいと思います。

熊は本来植物を好んで食べていましたが、なぜ肉食になったのでしょう。

シカ肉の味を覚えたことが理由として挙げられます。

また、山の中で生活していたはずなのになぜ人里まで下りてきたのでしょう。

人間が捨てたゴミで人間界の「味」を覚えたからだと言われています。

熊がシカを食べることになったのはシカの数が増えたからなのですが、増えた理由は山からニホンオオカミがいなくなったからです。

たった一種の生き物がいなくなっただけで、自然界のバランスが変わりました。

山の中に人間がゴミを捨てるというのも、すべての人がゴミを捨てるわけではありません。

ごく一部のマナーのなっていない人が捨てているだけです。

それでも、熊たちが人里まで下りてくるほどの影響を与えるのです。

私たちがつい「これくらいのことで」と思いがちなささいなことが、自然界のバランスを大きく崩していきます。

たった一人の行動が世の中に多大な影響をもたらすこともあります。

こう考えると熊を排除する方向に考えるのではなく、熊と人間がうまく棲み分けを行い、共存していく方法を模索していくほうが得策だと言えます。

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